第十一話 自分次第で世の中が違って見える

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画材店を訪れるのは何十年ぶりだろう。

ボクは不登校の頃、絵を描くことに没頭することで、つらさから逃れていた記憶がある。

大学の頃も、しばらく絵を描いていた時期があるので、恐らく画材店は約30年ぶりということになるだろうか。

今回画材店を訪れたのは、絵を描くための道具を買うことと、写真のための額縁について専門家のアドバイスを聞いてみたかったからだ。

 

ボクは、医者の衣は脱いだが、これまでの自分の経験と知識を無駄にしたくはないし、あの頃の自分を救うという意味でも、セラピストとしての仕事を手放すつもりはない。

 

一方で、「本当にやりたいこと」「ワクワクするようなこと」を見つけ、「人生を楽しみながら生きる」を実現することがこれからの人生には必要だ。

セラピスト自身が自己実現できていなければ説得力がない。

その「ワクワクすること」が、「写真」なのだ。「絵」はやってみないと本物のワクワクかどうかわからない。しかし、「写真」はボクを本気にする。

「これだ」と思う景色の中に、最高の構図を見つけた瞬間、無我夢中になる。「光」というスピリチュアルな要素は何よりもボクを駆り立てる。

ボクの写真は「マウイ島」で撮ったものばかりだが、「マウイ島」にはボクの求めるすべてがある。ボクのすべてを活性化させてくれる島なのだ。

早朝4時には勝手に目が覚めてすぐに動き出す。日常では常につきまとう身体の重さやだるさなど皆無。 

自分のどこにこれほどまでの体力やエネルギーがあったのだろうかと不思議に思うし、同時にそれをどれほどまでに消耗させて生き続けているのだろうか、と思ったことも覚えている。

その時に撮った数千枚の写真から厳選したものを額縁に入れて、作品として「売る」ということをしよう。

そして、また「マウイ島」に行き、撮ろう。

そう考えて画材店へ行ったのだ。

 

画材店には、マウイ島で購入した、プロの写真家の写真がコアの木でできた額縁に入っている作品を持っていき、それに近いクオリティの額縁があるかスタッフの方に尋ねた。

とても真剣に対応してくださった。

真剣に、一緒に考えてくれて、販売にふさわしいものを提案してくれた。

その店には、手作りのものを販売しているアーティストの方たちが多く訪れるらしく、それを生業とするその方たちの生き方そのものが当たり前に肯定されている。そういった雰囲気が安心感となって、ボクの選択を後押ししてくれるようだった。

 

生きる世界が変われば世の中は違って見える。

価値観が変われば人と関わることに新しい価値が芽生える。

人生を豊かにするかどうかは自分次第だ。

 

第十二話につづく