Q&A発達障害、どうして?

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カウンセリングルームブログでよく読まれている記事ランキング

2013年11月から開設している『さいとうカウンセリングルームブログ(旧:さいとうメンタルクリニックブログ)』内の60余りある記事のうち、

もっとも読まれている上位10個の記事をはてなブログ用にリライトし、10位からひとつづつ掲載していっています。

 

 まず、10位までのランキング(2017,8,10調べ)をご紹介します。

(*リンク先はリライト後のこのブログ内の記事です)

 

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10.“アダルト・チルドレン”①  『認識されにくい虐待』 4,767

 

 はじめに

今回は「発達障害」に関するQ&Aですが、ボクは発達障害の方や子どもさんのサポートについては専門ではありません。

どちらかと言えば「カウンセリング・セラピー」を希望された方から、子どもさんが発達障害であることを、情報のひとつとしてお伺いする、というのがほとんどです。

発達障害の有無にかかわらず、ボクのところでカウンセリング・セラピーを受けられる方は、生い立ちの中の心の傷や、その心の傷をもたらした出来事やその相手との関係性を認識し、

  • インナーチャイルド・ワークによって子ども時代を再体験し、感情を解放する
  • トラウマとなった出来事や相手との関係性を見直し、負の連鎖を断ち切る

といったセラピーを通じて「精神的な自立」を果たすことを目指します。

 

「Q&A発達障害、どうして?」という問いにおいては、経験の中からボクが捉えた「発達障害」と呼ばれる子どもさんの存在が親御さんにもたらす「精神的な自立」への影響について考察した内容が答えとなります。

 

発達障害」そのものに対する見解を述べるスタンスではなく、あくまでも「発達障害」と呼ばれる子どもさんの存在から受け取るメッセージ性の内容を述べるスタンスであることをお伝えしておきます。

 

 

Q.

息子が2人いて、長男(5歳)が発達障害です。特に、コミュニケーションの障害が重く、公園で遊んでいても、ひたすら自分のやりたいことをほかの子おかまいなしに突き進み、トラブルを起こします。

時々「周りはみな普通に育っているのに、どうして私の子だけ?」と比較してしまって弱気になってしまいます。

サポートしてくれている両親や周りの方々に申し訳なくて、私がそんなこと思っちゃいけないと思い、口に出すことができませんが、「どうして私の子が発達障害なのか?」この疑問が頭から離れません。

この疑問に答えはあるのでしょうか。 (相談者:Kさん)

 

参考:

 発達障害の代表的なものとして、知的障害、広汎性発達障害自閉症)、高機能広汎性発達障害高機能自閉症、アスペルガ―症候群)、注意欠陥多動性障害ADHD)、学習障害などがあります。  

その中で、知的障害を伴わない発達障害のことを「軽度発達障害」といい、高機能広汎性発達障害高機能自閉症、アスペルガ―症候群)、注意欠陥多動性障害ADHD)、学習障害が含まれます。

(軽度というのは障害の程度が軽いという意味ではありません。そのためにこの名称では誤解される可能性を危惧して、最近では「軽度発達障害」の軽度という言葉はあまり使われなくなってきています)

 

【簡単な解説】

広汎性発達障害・・・コミュニケーションが不得手、興味・関心・行動の偏り(こだわり)

注意欠陥多動性障害・・・落ち着かない、集中できない、不注意

学習障害・・・特定の「読み」「書き」「計算」などが苦手

 

多くの(軽度)発達障害の子どもさんは、「ちょっと気になる子」として捉えられますが、乳幼児健診では発見されにくく、何の対応もされないまま就学することが多いと見られます。

コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手で、その行動や態度は「自分勝手」「手のかかる子」「変わった癖のある子」「注意しても聞かない子」と勘違いされ、敬遠されることや、「怠けている」「変なヤツ」「問題児」と思われ、体罰を受けたり、いじめの対象になることも少なくありません。

その結果、学校不適応が生じ不登校となったり、思春期以降は社会への不適応を示すことにもなります。  

 

A.

これまでも、子どもさんが発達障害だと言われていたり、診断されたりしたという方がカウンセリングを受けられる時、その子どもさんと接したり、親御さんを通じて子どもさんの様子をうかがったりしてきました。

 

発達障害とひとことで言っても、上記(参考)のようにその内容はさまざまです。

しかしボクは、子どもさんの様子を見聞きしていていると、問題と捉えられるような言動は、

その子が育つ家や社会がかかげる常識の枠からはみ出しているために問題とされるのであって、

『その常識の枠をもっともっと広げていくことが大切である』

というメッセージを受け取ります。

 

「その家の当たり前で疑わない常識」と「社会の基準」の押しつけやコントロールによって奪われている個性の奪還・回復を促す“警鐘”である、とさえ感じられることがよくあります。

 

つまり、問題と捉えられるような言動は、子どもさんの強い個性(個性の主張)を示すものであって、同時にそれは、

「お父さん・お母さんが生まれ育ったそれぞれの家の当たり前で疑わない常識的な枠」と「社会の基準」の押しつけやコントロール(誘導・操作)に対する、『防衛』とも捉えることができます。  

 

例えば、

  • 集中力が極端にない。
  • じっとしていない。
  • あることへのこだわりが強い。
  • 読み書き、もしくは計算など、特定のことが極端に苦手。
  • 注意しても聞いていない・聞かない。

 

これが問題となるのは、

  • 親御さんが「育てにくい」と感じること。
  • 周りの子と比較して、平均的ではないため不安になるところ。
  • 園や学校などに適応しづらいので不安になるところ。

 

つまり、「標準の枠に当てはまらない」ところが問題だというわけです。

 

しかし、ボクの目にはそのようには映りません。

この子はほかの子よりも、独自の強い個性を持っていて、それが押しつぶされたり、曲げられたり、ゆがめられたりすることが絶対にイヤな子。

つまり『軸が自分にある子』

と捉えられるのです。

 

 

恐らく、集団に適応することを強く求められてその枠にはめられると、本人もつらい思いをしたり、トラウマを抱えたりするのだけれど、その子の『軸』を中心にした環境や育ちのペース、対応が整えられると、むしろその子の際立つ個性や才能がぐんぐん伸びる、そう捉えています。

 

とここまでは、子どもさんご本人のことですが、ボクは、Kさんだけでなく、不登校や子育てで悩む親御さんと接してきて、

 

子どもさんの姿や問題を通して、親であるお父さん・お母さんが何かに気づくよう働きかけられている

 

という答えが導き出されています。

 

 

発達障害と呼ばれる子どもさんの状態からは、それがよりわかりやすい形で呼びかけられているように思うのです。

 

つまり、

『軸を自分に置く』

『自分には強い個性・独自性・才能があり、それを花開かせる必要がある』

 

この重要性を呼びかけられている、というのがボクの見解なのです。

 

子どもさんが発達障害ということで悩んだり、自分を責めたり、劣等感にさいなまれるという親御さんからは、共通して「とてもお人好し」であるところが感じ取られます。

 

いつも自分のことは後回しで、まじめ。

人の期待を裏切れない、依頼を断れない良い人。

 

そういう親御さんに対して、

人のご機嫌や顔色に惑わされず、自分に軸を置いて、自分らしく堂々と生きられるようになろう。

そのために不必要なものを手放し、必要なものを選択していこう。

そうしていいんだ」

と呼びかけられているように感じます。

 

ですからボクは、子どもさんの「発達障害」は親御さんの精神的な自立への道しるべと捉えているのです。 

anohi.hatenablog.com 

発達障害」に見られる反適応的な特徴を優先して選択しようとすると、社会の常識・システムの枠との間で大きなギャップが生まれます。

 

そのギャップとじっくり向き合い、何を選択するのが子どもさんや自分たち家族にとって最も健全なのか、立ち止まって考え、話し合うことにどれほどの価値があるでしょうか。

  

 

今までの生き方・考え方、家族関係を見直しながら、自分らしい独自性(個性)を育てていく作業は決して簡単なものではありません。

 

しかし、発達障害の子どもさんたちは皆、決して人に合わせない、「強い個性」を生きることで、お母さんをはじめとした周囲の人たちに、それぞれの個性を尊重して自由に生きることの必要性を投げかけているのではないかと思うのです。  

 

発達障害として映し出されているものを「強い個性」と受け止め、

「待つ・見守る・受け止める・ゆずる・許す・認める・尊重する」

という

『寛容的で母性的な環境』

で包み込むことができる「お父さん・お母さん」を、お父さん・お母さん自身で育てていく過程で、独自の考え方や生き方、自主性、主体性が育まれる。

そして、

『自分らしさ』を妨げている「代々受け継がれてきた当たり前の考え方・価値観や心理」を断ち切ることができるのではないかと思います。

 

さいごに

「どうして私の子が発達障害なのか?」

その答えは、

 

「代々受け継がれてきた当たり前の考え方・価値観や心理の中に、独自の考え方や生き方、自主性、主体性を奪ってしまう何かがあることに気づいて断ち切ることができる可能性を持ったお母さん(お父さん)だから与えられた課題

という一面が大きいのではないか、と考えています。

 

インナーチャイルドや精神的な自立に関するセラピーの内容につきましては、

著書『ママ、怒らないで。』にも詳しく記載されていますので、よろしければご参照下さい。

最後までお読みくださりありがとうございました。

 

書籍案内

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