『ひといちばい敏感(びんかん)なHSCは、「自分(いのち)」を粗末(そまつ)にできない正直(しょうじき)な人』
今回は、HSCということばの存在(そんざい)についておつたえしようとおもいます。
みなさんは、HSCということばをきいたことがありますか?
Highly Sensitive Child:ハイリー センシティブ チャイルド、といって、『人いちばい敏感(びんかん:かんかくがするどいこと)な子』、というものです。
ボクは、「学校(がっこう)へ行きたくない」というきもちになる子どもさん、行けなくなってしまう子どもさんのほとんどは、HSCにあてはまるのではないかとかんがえています。
ですから、
- 子どもが「学校へ行きたくない」「学校に行けない」と言ったら、親(おや)や大人の人はどういうふうにうけとめて、どう対応(たいおう)するか
- なにを選択(せんたく:よりよいものをえらびだすこと)するか
という問題(もんだい)について、
心の専門家(せんもんか)としての立場(たちば)で、
『“敏感(びんかん)で繊細(せんさい:かんかくがこまやかなこと)である”という子どもさんの気質(きしつ:にんげんがそれぞれにもつ、心やからだのせいしつ)に注目(ちゅうもく)した見方(みかた)やかんがえかた』
を書(か)きたいと思います。
【目次】
- HSCは生まれ持った個性(こせい)
- HSCのセルフチェック
- HSCを知(し)ることで楽(らく)になる
- HSC(HSP)はいのちを粗末(そまつ)にできない人
- 不登校(ふとうこう)は、危機(きき)のようで、じつはチャンス
- お父さん・お母さんへ
HSCの特徴
“敏感(びんかん)で繊細(せんさい)な子”は、心や身体(からだ)にわいた「いやだ」という感情(かんじょう)を正直(しょうじき)にかんじとり、けっしてごまかすことのできない、つよい感受性(かんじゅせい:そとからのしげきをふかくかんじとり、心にうけとめる力)を持っています。
簡単(かんたん)にですが、代表的(だいひょうてき)な4つの特徴(とくちょう)について紹介(しょうかい)します。
- ちょっとした刺激(しげき)を察知(さっち)する
- 過剰(かじょう)に刺激(しげき)をうけやすく、それに圧倒(あっとう)され、人よりはやく疲労(ひろう)をかんじてしまう。慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん)につながりやすい
- 人のきもちによりそい相手(あいて)をおもいやる力や、人のきもちをよみとる力など『共感力(きょうかんりょく)』が高(たか)い
- 物事(ものごと)をふかくかんがえる
むずかしいことばがおおいので、よくわからないかもしれませんが、
- 「じぶんはどうしてお父さんお母さんや先生、おともだちの表情(ひょうじょう)やきもち、ふんいきが気(き)になってふかくかんがえてしまうんだろう」
- 「どうして変化(へんか)やさわがしさ、はやいペース、大きな音(おと)や声(こえ)、はじめての人や場所(ばしょ)などがにがてだったり、それでつかれてしまうんだろう」
- 「どうしてからだのきつさやだるさ、頭やおなかのいたみが出てしまうんだろう」
などとかんがえたり、かんじたり、あてはまっている、とおもう人は、『心や身体(からだ)にわいた「いやだ」という感情(かんじょう)を正直(しょうじき)にかんじとり、けっしてごまかすことのできない、つよい感受性(かんじゅせい)を持っている、“敏感(びんかん)で繊細(せんさい)な子”』、つまりHSCとかんがえられるのです。
HSCは生まれ持った個性(こせい)
HSCのことをよくしって、なにもおかしくない、つぶされてはならない生まれもった個性(こせい:それぞれがもつ自分らしさ)であること、それをつぶさないためには、大人の人がどういうことにきをつけて、なにを選(えら)ばせてあげるのがいいかをわかっておくことが大切(たいせつ)です。
子ども側(がわ)だけ、でなく、大人側(がわ)だけ、でもなく、大人も子どもも、情報(じょうほう:ものごと・できごとのなかみと、そのしらせ)を共有する(きょうゆうする:いっしょにしっておく)ことがとても大事(だいじ)だとおもうのです。
HSCのセルフチェック
この、HSCということばをとなえたエレイン・アーロン博士(はかせ)の日本語(にほんご)のホームページがあり、HSCかどうかをかくにんしてみる「セルフチェック」がありましたので、よかったらさんこうにしてみてください。
ちなみに、エレイン・アーロンさんは、HSP=Highly Sensitive Person(子どものばあいはHSC)のことを、こうおっしゃっています。
HSPは正常(せいじょう)な特性(とくせい:その人にとくべつにそなわっているせいしつ)です。この特性(とくせい)は全人口(ぜんじんこう)の15~20%に見られます - 病気(びょうき)と呼(よ)ぶにはあまりに多(おお)すぎませんか? そう,病気(びょうき)ではなく、私(わたし)たちの周(まわ)りにいる多数派(たすうは)の人たちが、まだこの特性(とくせい)を充分(じゅうぶん)に理解(りかい)していないだけなのです。(エレイン・アーロン博士ホームページより)
↑(エレイン・アーロンさんの本:Amazonの紹介ページのリンクです)
HSCを知(し)ることで楽(らく)になる
よく、じぶんや、じぶんの子が、発達障害(はったつしょうがい)かもしれない、とおもっていたが、じつはHSC(大人のばあいはHSP)だった、ということがあります。
こういう方(かた)は、さきほどあげた、
- 「じぶんはどうしてお父さんお母さんや先生、おともだちの表情(ひょうじょう)やきもち、ふんいきが気になってふかくかんがえてしまうんだろう」
- 「どうして変化(へんか)やさわがしさ、はやいペース、大きな音や声(こえ)、はじめての人や場所(ばしょ)などがにがてだったり、それでつかれてしまうんだろう」
- 「どうしてからだのきつさやだるさ、頭やおなかのいたみが出てしまうんだろう」
というような疑問(ぎもん)や、
- ほかの人にとってはふつうのことが、じぶんにはとても苦痛(くつう:ストレス)にかんじられること
- 「気にしないの」と言われても「気にしすぎてしまう」ことなどに、罪悪感(ざいあくかん:じぶんがわるいとおもってしまう)や、劣等感(れっとうかん:人とくらべてまけている、おとっているとかんじる)
などのなやみをもったままなので、HSC(HSP)のことを知ると、とても楽(らく)なきもちになるのです。
「じぶんは何もおかしくないんだ」
「じぶんがわるいのではなかった」
「これはわたしの個性(こせい)なんだ」
「ボクはボクのままでよかったんだ」
など。
HSC(HSP)はいのちを粗末(そまつ)にできない人
ボクは、HSCの子どもたちや、HSPの人というのは、
「何のために生きるんだろう・・・」
といった疑問(ぎもん)をもちやすいことから、
「与えられたいのちを粗末(そまつ)にすることができない人」
と理解(りかい)しています。
心にうそをついたりごまかしたりすることができない、正直(しょうじき)な人なのです。
不登校(ふとうこう)は、危機(きき)のようで、じつはチャンス
カウンセリングの場(ば)では、そのような子どもさんの不登校(ふとうこう)は、お父さん・お母さんが「生きる意味(いみ)」や「本当(ほんとう)の幸(しあわ)せ」について思いをめぐらすきっかけになります。
ほかにも、無意識(むいしき:きがつかないところ)の思いこみや束縛(そくばく:しばること)から自由(じゆう)になったり、家族(かぞく)の絆(きずな)やあたらしい生き方をえらぶなど、“変化(へんか)”が起こるご家族(かぞく)もあります。
これは、子どもさんからのありがたい『命(いのち)のよびかけ』ではないかと思うのです。
子どもさんの不登校(ふとうこう)は、“危機(きき)”のようで、じつは、「家族(かぞく)のじぶんたちらしい生き方」を見つけるチャンスととらえることができるのです。
お父さん・お母さんへ
ですから、お父さん・お母さんには、
◇子どもさんの個性(こせい)・気質(きしつ:にんげんがそれぞれにもつ、心やからだのせいしつ)を見極める(みきわめる:ふかくしりつくす)こと
◇そこにこめられたメッセージや、「生きる意味(いみ)」「本当(ほんとう)の幸(しあわ)せ」に思いをめぐらしてみること
◇人生(じんせい)の選択肢(せんたくし:よりよいものをえらびだすことのできる、いくつかのこと)や可能性(かのうせい:ものごとがじつげんするみこみ)をひろげること で、未知(みち:まだしらないこと)のところからえられる何かがあるのではないか
という提案(ていあん:かんがえをだすこと)をしたいと思います。