学校に行かないと将来どうなるか

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これまで、子どもさんの  “今”  は将来(しょうらい)ではなく、“今ここ”  のためにあるといったことをお話してきました。

 

学校は何のためにあるのか、

どうして行かなくちゃいけないのか、

 

それについてのボクの答えもお話してきました。

 

また、ボクが2013年から開設(かいせつ)している、さいとうカウンセリングルームのブログ上に、『学校を辞めたいという子』というタイトルの記事(きじ)があります。

この記事は、数あるQ&Aの中で、ずっと第2位を維持(いじ)しており、そのくらい関心(かんしん)が高いことがうかがえます。

 

小中学校と高校の違い

では、「学校に行かないと将来どうなるのか?」

 

その答えについては、義務教育(ぎむきょういく)である小中学生と、そうでない高校生とでは、とらえかた少し違(ちが)ってきます。

それは、小中学校は義務教育なので学校に行かなくても留年(りゅうねん)しないし、退学(たいがく)というかたちにもなりませんが、義務教育ではない高校の場合『学校に行かなくなる』ことで、

 

進級(しんきゅう)できず留年

卒業(そつぎょう)したという資格(しかく)がない

 

ということが、そのまま就職試験(しゅうしょくしけん)に影響(えいきょう)するからです。

 

この記事では、どちらかというと高校生のことについての内容(ないよう)になっています。

もちろん小中学生でも「組織(そしき)が苦手」という子には理解できるところがあるのではないかと思います。

 

企業(きぎょう)が求める人材(じんざい)

就職というのは職(しょく)に就(つ)くということですが、その意味を字のままとらえると、どんな職業を選んでも、収入(しゅうにゅう)が得られる仕事をしていれば職に就いている、ととらえることができそうです。

しかし、普通(ふつう)はそこのところを深く考えることはあまりなく、就職といえば、雇用者(こようしゃ)となる会社や組織(そしき)などに入ること、という共通(きょうつう)のイメージがあるのではないかと思います。

会社のほかにも、公務員(こうむいん)、弁護士(べんごし)、医師(いし)、薬剤師(やくざいし)、教師(きょうし)、設計士(せっけいし)、調理師(ちょうりし)、看護師(かんごし)介護士(かいごし)、運転士(うんてんし)、保育士(ほいくし)・・・ほかにも職種(しょくしゅ)はさまざま。

ここでとらえておきたいのは、「就職」には『組織(そしき)に入る』というイメージがセットになっていることです。

たしかに『組織』に入るためには『高校を卒業(そつぎょう)している』ことが条件(じょうけん)や基準(きじゅん)になっているのがほとんどです。

つまり『高校を中退(ちゅうたい)した』という履歴(りれき)があると、中々採用(さいよう)してもらえない場合(ばあい)があるという現実があるわけです。

そして企業が求める人材は、

『組織に適応し、イヤなことにも耐(た)えられ、会社の利益(りえき)に貢献(こうけん)してくれる、雇用主(こようぬし)が望むような』人材。

 

『高校を中退(ちゅうたい)した』という事実(じじつ)は、理由にもよりますが、

「高校を辞めたのだから、イヤなことに耐えられず、会社もすぐに辞(や)めるかもしれない」

というネガティブなイメージが先行してしまって中々採用(さいよう)してもらいにくいところもあるのです。

それは、『高校認定試験(こうこうにんていしけん)』をうけて、高校の卒業資格(そつぎょうしかく)を得ても、同じことが言えると感じている人も少なくないようです。

つまり、

「企業(きぎょう)に入ることが前提(ぜんてい)だと、高校までは頑張(がんば)って耐えて卒業(そつぎょう)した方(ほう)がいい」

それが大多数(だいたすう)の意見(いけん)のようです。

 

どんな生き方があるか

しかし、職業(しょくぎょう)を『生き方』として見てみたらどうでしょう。

企業や組織がすべてではないはずです。

 

よく見てみると、世の中にはそれこそたくさんの仕事があります。

フリーランスと言って、企業に雇(やと)われないかたちで、自分で責任(せきにん)を持って自由(じゆう)に仕事をして収入(しゅうにゅう)を得ている人。

お店を開く人。

ネットを使って稼(かせ)ぐ方法(ほうほう)を身につけている人。

You Tuberのみなさんもそうですね。

  

組織に雇われないということは、実際(じっさい)に安定(あんてい)しづらいですし、自分の面倒(めんどう)はすべて自分で見なければなりません。

苦労(くろう)があるのも確(たし)かです。

 

しかし大切なことは、自分(自分がつくった家族)にとって、幸せとは何なのか

幸せになるために、何を大切にしていくのか

大切にする何かを優先(ゆうせん)することによって、失われるもの(手放⦅てばな⦆すべき何かが出てくること)に覚悟(かくご)を持つ勇気(ゆうき)があるか、ということだと思うのです

 

組織に合わない気質・特性を生かす道

カウンセリングでは、高校や大学を出て、選択した職業をまっとうしてきたけれど、心を病(や)んだり、問題を抱(かかえ)えたりして

「実はやりたい仕事じゃなかった」

「自分のために選んだ職業(しょくぎょう)じゃなかった」

「違う人生を歩みたい」

という心の事実に気づく方がいらっしゃいます。

 

結果、苦労は多いかもしれないけれど、家族と自分を大事にできる生き方を求めて、独立(どくりつ)して収入を得る方法を選ぶ方もいらっしゃいます。

 

このブログでも何度(なんど)もお伝えしてきていますが、

組織に合わない気質(きしつ:にんげんがそれぞれにもつ、心やからだのせいしつ)・特性(とくせい:とくべつにそなわっているせいしつ)であれば、組織はその人の才能(さいのう)を開花(かいか)させる場所とは言えないでしょうし、無理に合わせることで心身(しんしん)や人生に悪影響(あくえいきょう)がもたらされることも懸念(けねん:しんぱい)されます。

気質や特性を見極(みきわ)め、思い切って組織を選択肢(せんたくし)から外(はず)して考えることで、視野(しや)も可能性(かのうせい)も拡(ひろ)げられるのではないでしょうか。

 

人生で一番大切なもの

ボクは組織が合わないことで長い間苦しみ、苦労してきました。

将来苦労しないようにと親が望(のぞ)むレールに乗(の)っかり、教育をうけて親の望む職業に就いたけれど、皮肉(ひにく)にもそれによってボクは苦しんだわけです。

その結果、組織から離(はな)れ、自分の気質に合った選択、

自分らしさが発揮(はっき)できるための、自分の身の丈(みのたけ)に合った安心・安全な衣(ころも)を選んでいこうと決めたのでした。

 

もっと早い段階で自分の気質に合った職業選択ができていればと思う。

子どもの頃、「あなたは、こういう気質の持ち主だから、こっちではなく、こういう職種のほうが向いているのではないか」、というような意見を言ってくれる大人がいたらよかった。

それは情報(じょうほう)でもよかった。

だからこそ、このような情報を発信(はっしん)して、方向性(ほうこうせい)で行き詰(づま)って苦しんでいる子どもさんたちを救いたいと思うのです。