こんにちは。
今日は、今年(2017年)3月7日に出版した本、『ママ、怒らないで。』の、出版までの道のりについてお話しようと思います。
これまでも綴ってきたように、ボクは勤務医を辞め、「薬に頼らない、精神療法を行う、自由診療」のクリニックを開いていました。
通常行われているのが、健康保険を提示して行う『保健診療』で、短時間の精神療法と薬の処方がセットとなっているのが一般的です。
そんな中で、ボクが自由診療を選んだのは、薬物療法による対症療法ではなく、心の病や悩み苦しみの根本的な解決を目的としていて、ひとりの患者さんと向き合うには、当時は2~3時間どうしても必要だと考えていたからです。(ですから物理的にも精神的にも1日2組が精一杯でした)
そして、『症状=言葉にならない心の叫び』と捉えていたボクにとって、『心の叫び』を薬で鈍らせて抑えることは避けたい。
このような理由で、自由診療を選択したのでした。
開業から1年後に子どもが生まれましたが、子どもの存在や子育ては、ボクの診療にも、大きな変化を与えました。
『医者と患者さんの関係』
から、対等な立場で自己の成長・精神的な自立を目的としてカウンセリングを行なっていく、
『セラピスト‐クライアント関係』
へと変化していったのです。
子どもの立場、子どもの目線、子どもの気持ちというものが、ボクや妻の中の『子どもの頃の自分(インナーチャイルド)』を呼び覚まし、その存在や心の傷を認知させてくれたからです。
インナーチャイルド、そして子どもを救うことはできないか
この頃から『インナーチャイルド』は、ボクたちのカウンセリングにおいて、切っても切れない存在なのです。
『言葉にならない心の叫びは、インナーチャイルドの声でもある』
『ママやパパのインナーチャイルドが叫び声をあげる時、それが子どもにうつったかのように、子どもが不安定になるパターンがある』
それを掴みました。
「子どもには何も問題はない」
「今苦しんでいる人たちは、子どもの頃に苦しみの種が植えつけられている。そこからの回復がどれほど大変なことか。それならば、なおのこと、今“子ども”を生きている子どもたちが、苦しみの種を植えつけられることから救えないだろうか?」
「子どもたちを救うには、まずママ(パパ)と、そのインナーチャイルドが救われなければ!」
「そうしてようやく子どもを守れる(予防できる)」
「これ、絶対本にしなくては」
日々の生活やクライアントさんとの対話からそれを強く実感するたびに、
「これ絶対本にしなきゃ」
と妻。
妻が草稿、ボクが中身を詰め、妻が整える・・・ふたりで協力して原稿を増やしていきました。
確か、息子が3歳前後だったので、2012年のことだったと思います。
それから企画書と原稿を、ある出版社に郵送しました。
当初は、いっぺんに何社にも送るのは失礼かと思い、1社に送ったら1か月~2か月待つ。
連絡がなければこちらから問い合わせていました。
『得手不得手がありますが、うちはこのジャンルは不得手なので』
『子育て中のママたちは忙しいので手に取ってもらうのも難しい』
『誰か有名な方をご存知ないですか? そのような方の推薦がないと今は売れないもんですから』
断られる理由のほとんどはこういうものでした。
なかなか道が開けない・・・
落ち込むことも何度もありました。
希望の光が差し込む
そんな中、「まずはブログというものを始めてみよう」ということで、
2013年11月、「さいとうメンタルクリニック(現:さいとうカウンセリングルーム)」のブログを開設し、主に「ママと子どもの心のつながり」に関する記述を掲載していきました。
途中更新が途切れた期間もありますが、約4年間、発信をしてきたことになります。
その間も、数社に原稿を送っていました。
そんな中、「女性の社長さんがひとりでされていて、育児教育専門の本を出版する出版社があるけど、ここすごく気になる」と妻が言いました。
『風鳴舎』さんです。
当時4歳の息子も、「ここ絶対(原稿を)送った方がいい」と教えてくれます。
原稿を送る前だったか後だったか、電話で問い合わせた時に、風鳴舎の社長、青田さんとお話した中で、あることがとても印象的でした。
『風鳴舎』という社名は、娘さん(当時3歳)が教えてくれたもの。
自転車に乗せている時、「何が良いかなぁ」と社名を考えていると、
「ふうめいは? ふうめい。絶対うまくいく」
と娘さんが言ったのだそうです。
それに漢字をあて、『風鳴舎』になったとのこと。
そして、ボクたちの企画に対しては、
「そういう本をつくらなければいけない気がする」
「大手にはできない、うちだからできることがあるはず」
という力強い言葉をくださったのです。
動き出した出版計画
実際に転機が訪れたのは、それから1年近く後の2016年4月。
その後進展しない出版計画に対する不安を吹き飛ばすようにボクが没頭して書いた原稿を改めて送ったところ、「このままではまだ本にはできないが、何とか工夫して、ママたちが手に取ってくれる本をつくりましょうか」
というお返事をいただくことができたのでした。
6月に東京へ行き、初顔合わせと打ち合わせ。
その後、内容が大きく変更になったり、絵本部分やイラストを配置して、忙しいママが少しでも読みやすく、愛着が感じられる本にするための工夫が次々に提案され、施され、の繰り返し。
当初は9月出版を目標にしていたのが、12月に延び、それでもまだ変更・工夫が繰り返され、やっとゴールが見えたのは1月でした。
本の完成
2月末、見本が届きました。
ホッとした。
無我夢中で走り続けてきて、箱を開いて完成した本を手に取って、まずはホッとした。それが正直な気持ちでした。
それから後は、常に手の届くところに置き、目を通すたびに愛おしく感じられるようになっていきました。
『ママ、怒らないで。』に込められた願い
現在、『ママ、怒らないで。』を読んでくださり、カウンセリングに至った方々が、全国にいらっしゃいます。
それぞれが、それぞれの親子関係、環境、生い立ちの中で負わされた心の傷や植えつけられた苦しみの種、身につけたサバイバル・スキルを抱え、それらから回復・解放されたいと願いながら読んでくださった感想を、このように述べて下さっています。
「まるで自分のことが描かれているようで驚いた。自分の気持ちが代弁されていた」
「私は悪くなかった、それがわかって救われる思いだった」
「わが子には、自分と同じ痛みを味わわせたくないから私は変わりたい」
「子どもを愛おしいと思える時が増えたのが良かった」
「心の傷が痛んで本を閉じてしまうこともあるけれど、これは私が一生持っておかなければならない本だと思う」
自分とインナーチャイルドを粗末にしたくない。
結婚した方であれば、伴侶とつくった大切な家庭を粗末にすることなく、丁寧に、誠実に、幸せな家庭・絆を育んでいきたい。
そう願う方に読んでいただきたい本です。
Amazonの紹介ページをはじめ、掲載された新聞記事のリンクを貼りますので、よろしければぜひ、ご覧ください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
西日本新聞(6月4日付)
神奈川新聞(6月5日付)
熊本日日新聞(7月6日付)