【保育園・託児所・親以外の人】に預けて大丈夫じゃない子とは?

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私はデジタルのものが苦手なので、ツイッターやネットニュースなどを見ることがほとんどありません。

 

反対にそれらで色んな情報を得ている妻からは、3歳児神話やサイレントベビーなど、親より子どもを優先しなければいけなくなるような概念について、反対意見などで話題になっていることを聞きます。

 

一方で、子どもさんが少し大きくなって、何らかの問題が表に出てきて頭を悩ます親御さんからは、『もっと早く知っておきたかった』『そんな大事なことならもっと叫ばれてほしかった』『それを知っていたら違う選択をしていたかもしれない』と言われる情報もあります。

 

情報は、受け取る人、タイミングによって捉え方も重要度も違いますし、すべての人に共通して当てはまるわけでもありません。

子育てに関しては、子どもさんそれぞれの『気質』が異なるので特に。

 

ですから今日は、『もっと早く知っておきたかった』『そんな大事なことならもっと叫ばれてほしかった』『それを知っていたら違う選択をしていたかもしれない』に該当する情報をお伝えしようと思います。

 

【目次】

 

子どもを小さいうちから預けると悪い影響が出る?

 3歳未満、ことに1歳未満から子どもを保育所・託児所などに預ける場合、母子間の(*1)愛着が不安定になったり、その後子どもに行動上の問題が生じる場合があることが知られています。

ただし、すべての子どもに悪い影響が出るわけではありません

 

(*1)愛着とは、選ばれた特定の存在に対する特別な結びつき(絆)であり、その選ばれた存在に対してだけ、愛着行動が見られ、それ以外の対象に対しては、むしろ愛着行動は抑えられるという。

 

 

注意しなければいけない2つのタイプ【HSCとHSS】

もっとも注意を要しなければならないのは、敏感な遺伝的気質を持った子です。

それが、(*2)HSC(Highly Sensitive Child)=とても敏感な子です。

 

(*2)HSCの特徴

刺激に対して敏感である。

過剰に刺激を受けやすい。

細かいことに気がつく。

強い感情に揺さぶられる。

具体的には、

すぐにびっくりする、

大きな音やまぶしい光にびっくりして泣き出すことがある、

服の布地がチクチクしたり、靴下の縫い目や服のラベルが肌に当たったりするのを嫌がる、

かすかな音や臭いに気づく、

部屋や自分の衣服のささいな変化に気づく、

暑すぎたり、寒すぎたりするのを嫌がる、

人混みや騒がしい場所を嫌がる、

混ぜた食べ物や複雑な味付けを嫌がる、

予想外のこと、びっくりすること、突然の変化を嫌がる、

親の機嫌を敏感に察知する、

親のマイナス感情を過剰に受け止めてしまう、

親の不安を感じ取って泣くことがある、

というもの。

(『ひといちばい敏感な子』エレイン・N・アーロン著 / 明橋大二訳 / 1万年堂出版より抜粋)

 

HSCを提唱したエイレン・N・アーロン博士によれば、HSCは、子ども全体の15~20%ぐらいの比率で存在すると言われていますが、日本人などアジア系の子どもたちではさらに多いということも指摘されているようです。

 

そして、敏感な遺伝的気質を持った子の中には、敏感なHSCであることをわかりにくくする、もう1つのある特徴を持った子どもがいますので、見逃されないよう注意が必要です。

それは新しいものに好奇心が強く、刺激を求めて活発に行動する傾向が強いという特徴を持った子です。

このようなタイプを新奇性探求とか、新奇追究型High Novelty Seeking(HNS、または刺激追究型=High Sensation Seeking(HSS)と呼びます。

 

 

子どもが小さいころに、母親から引き離されるとどうなる?

これらの気質を持つ子が、3歳頃までの時期(中でも生後1歳半頃までは愛着形成が行われるもっとも大切な時期)に、無理やり母親から引き離されるという体験をすると、

それがトラウマ(強い不安)となって心に傷が残りやすく、些細な変化や新しい人・場面などに対して警戒心が強く過剰に敏感であったり、多動で衝動的であったり、母親にしがみつこうとしたり、母親を困らせることをしたりするなど、不安定な愛着パターンを示しやすくなるということです。

 

敏感な遺伝的気質を持った子の場合、

特に(*3)「抵抗/両価型」と呼ばれる、見捨てられることや拒否されることへの不安が強い不安定な愛着パターンを示しやすく、

大人になって「不安型」もしくは「とらわれ型」と呼ばれる愛着スタイルを示しやすいと言われています

  

(*3)「抵抗/両価型(不安型)」

 抵抗/両価型とは、自分を置いていなくなった母親が戻ってきたとき、子どもが素直に甘えるのではなく、拒否したり、怒りをぶつけたり、だっこされるのに抵抗を示したりすることからつけられた名前です。

(『過敏で傷つきやすい人たち』岡田尊司 / 著 / 幻冬舎新書 P139より引用)

 抵抗/両価型は、愛されている、守られているという安心感が乏しく、見捨てられることや拒否されることへの不安が強い。そのため、甘えたいのに素直に甘えられないといった両価性や、本心とは反対の行動をとるといった逆説的反応がみられやすい。相手の顔色に対して敏感で、少しでも拒否されたり、自分が否定されたりする気配を感じ取ると、しがみつこうとしたり、逆に攻撃したりして、激しい反応を示す。他人の良い点を素直に認めるよりも、悪い所ばかり目が向くため、人に対して批判的で、否定的な感情を抱きやすい。
 その結果、対人関係が不安定になりやすい面と、極度に依存的な面がみられる。後者の要素が強まると、人の顔色に敏感で、他人に過度に迎合し、言いなりになってしまいやすい。そのため、イジメや不当な支配を受けたり、他人から都合よく利用・搾取されやすい。

(『発達障害と呼ばないで』岡田尊司著 / 幻冬舎新書 P120より引用)

  

   

預けるか見合わせるか、判断の目安

とはいえ、初めて子どもさんを預ける時、例えばとても嫌がっていたり、1時間以上たってもまだ泣き続けるような場合、預けるか、見合わせるか、判断に迷うと思います。

その場合、子どもさんの敏感・繊細さの度合いを見極めることが重要になります。

これについて、アーロン博士は次のように記されています。

  

『初めて親と離れる時』

 HSCが親と引き離された時、どうなるかは予測しにくいものです。前章でお話ししたとおり、幼い子どもは本能的に、一人きりにされたり、じゅうぶんかまってくれない人と一緒にいたりすることを嫌がります。でも、子どもの要求に柔軟に応えられる信頼できる人がいて、子どももその人のことを知っている場合、うまくやっていける可能性もあります。

 ただ、とても嫌がっていたり、1時間たってもまだ泣いているようなら、誰かに預けるのをやめ、できる限り子どもと一緒にいたほうがいいでしょう。私は、少なくとも3歳までは、慣れた養育者から引き離される時間は最小限にとどめたほうがいいと思っています。そうすれば、数年後には自立した子どもに成長しているはずです。

 というのも、幼い子、特にHSCは、親から引き離された経験がトラウマになる傾向にあるからです。これまでに、幼い頃に母親から長時間引き離された経験が、強い不安となって残っているHSPを大勢見てきました。

(『ひといちばい敏感な子』エレイン・N・アーロン著 / 明橋大二訳 / 1万年堂出版 P265-266より引用)

 

 

子どもが小さいころに、母親から引き離さないほうがよい理由とは

“愛着の傷”とその影響という観点から、子どもが小さいころに、母親から引き離さないほうがよい理由について詳しく記載された文献がありますので、ご紹介したいと思います。

 

 愛着の形成には臨界期と呼ばれる敏感な時期があり、その時期に母親が奪われる体験をすると、深刻な障害が残りやすい。

 愛着形成の臨界期は生後半年から1歳半の期間だとされるが、最近の研究では、生まれた直後から半年までの間でも、すでに愛着形成が始まっており、早期に母親から離された場合、社会性の発達などに影響があることが認められている。

 つまり、1歳半までの期間に養育者との間で愛着の絆が確立されないと、安定した愛着の形成は困難になりやすいのである。

 しかし、この時期を過ぎたからといって、まだ安心できるわけではない。この時期は、愛着の形成という意味での臨界期であるが、それに続いて迎える母子分離の段階は、母子分離の達成という次のステップの臨界期にあたるからだ。ことに2,3歳の時期は、母子分離不安(子どもが母親から離れる際に感じる不安)が高まる時期であり、この時期に無理やり母親から離されるという体験をすると、愛着に傷が残り、分離不安が強く尾を引きやすい。結局5歳ごろまでは、敏感な時期だと言える。

 概して言えることは、愛着形成が完了しない時期に母親から離された子どもは、愛着自体が乏しい脱愛着傾向を抱えやすく、母子分離不安が高まった時期に母親をうしなうと、「見捨てられ不安」や抑うつが強まりやすい。その境目が2,3歳ごろだと言えるだろう。

 こうした時期を過ぎるにつれて、愛着した対象をうしなうことの影響は小さくなっていくが、そこで受けた傷はさまざまな影響や動揺を及ぼし得る。愛着に傷を抱えると、次に対象をうしなったとき、いっそう強い影響を被りやすく、不安定な時期が長引くという悪循環を来しやすい。

(『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』岡田尊司著 / 光文社新書 P55-56より引用) 

  

 

幼い時期ほど、回復が早い

『わが子の気質や預けることでのリスクなど知らなかった。問題が起こっているがどうしていいかわからない』

そのような場合でも、傷の回復は可能です。

 

たとえ心に傷が残っていたとしても、幼い時期ほど、不安定な愛着パターンの回復は早く、母親安定した愛着に恵まれるようになれば、心の傷は癒され、情緒的に落ち着いていくと言われています。

そのためには、母親が支えられ、励まされ、安心や助言を得ることが大切です。

 

子どもさんの愛着の傷を癒すには、安心感に包まれること。

 

子どもさんが必要とされる限り、お母さんができるだけ子どもさんのそばにいてあげて、子どもさんの気持ちや要求・欲求に応えてあげようとする愛情が、子どもさんの回復にとって何より代えがたいものなのです。

 

また、子どもさんの安心感と信頼感の回復には、“子どもが困ったとき、助けを必要とするとき、すぐにかけつけて、必要なサポートをしてくれる”ということが欠かせません。


大切なことは、子どもさんの欲求や感情を感じ取り、共感的に子どもさんの気持ちを汲み取ってそれに寄り添い、声や表情や動きに反応したり、子どもさんが反応や助けを求めているときに、それに応えるということです。

 

つまり、子どもさんに対して反応豊かで愛情深い関わりを持つことが傷の回復を早めるのです。

 

 

参考

『愛着パターンは変えられる』

 愛着という現象の大きな特徴は、遺伝要因によって決められる部分よりも、体験によって作られる部分が大きく、いったん確立した後でさえも変化し続けるということである。
 不利な遺伝要因をもっている場合であっても、また、すでに不安定な愛着パターンを示している場合でも、かかわり方を変えていけば、愛着は安定していき、遺伝的特性や気質的傾向は残っていても、あまり問題がなくなり、適応がよくなり、別人のように生き生きとしてくることも多い。遺伝要因や器質的障害そのものを取り除くことはできなくても、愛着を安定したものに変えることは努力次第で十分可能なのである。親として、また支援者として、成し得る最善のことは、安定した愛着を育み、また育み直すということに尽きるように思える。
 幼い時期ほど、愛着パターンは大きく変わる。遺伝要因さえも凌駕(りょうが)し得る可能性をもっている。ちょっとしたかかわり方で大きな違いを生んでいくのだ。

(『発達障害と呼ばないで』岡田尊司著 / 幻冬舎新書 P249-250より引用)

 

『安定した愛着を育むためには』

 安定した愛着を育むには、たっぷりとしたスキンシップで、子どもの安全感を守るということが第一だ。安心を与えてくれる人に、子どもは愛着し、絆が形成されるからだ。そのためには、母親がそばにいるということが、まず前提条件になる。子どもが困ったとき、助けを必要とするとき、すぐに飛んできて、手を差し伸べてくれるということが、子どもの安心感と信頼感を育む上で基本中の基本だと言える。
 したがって、母親が長期間いなくなることは、愛着に対しては破壊的な作用を及ぼし、脱愛着という状態を引き起こす。脱愛着は、母親を求めることに疲れ、もう求めなくなった状態だ。
 そこまで長期間でなくても、そばにいない時間が長かったり、いてもその子にかまえないという場合には、愛着は不安定なものになりやすい。母親が自分に対して上の空だということを、子どもは敏感に感じ取る。
 だが、母親がそばにいるだけでは、安定した愛着を育めるとは限らない。それは必要条件であって十分条件ではない。
 発達心理学者のメアリー・エインスワースは、母国アメリカだけでなく、世界各地で、さまざまな文化に属する母親と子どもの関係を観察した結果、子どもと安定した関係を結ぶことができる母親は、文化や社会の違いを超えて共通する特徴を示すことに気づいた。
 それは、感受性や応答性が豊かなことだ。ここで言う感受性とは、子どもの気持ちや欲求を感じ取る能力のことだ。子どもの気持ちを的確に読み取れず、自分の思い込みで的外れなことをしてしまう場合、愛着は不安定になりやすい。
 また、応答性とは、子どものアクションに対して、リアクションすることだ。声や表情や動きに反応したり、子どもが求めていることを満たしてやったり、困って助けを求めていれば、救いの手を差し伸べたりということだ。
 もっとも有害なのは、母親のリアクションが乏しい場合だ。多少的外れでも、リアクションをしないよりはした方がよい。しかし、親がリアクション過剰になり、何もかも先回りしてやってしまうと、子どもは自分で行動できなくなり、たえず母親の顔色をうかがうようになる。こうした場合も、愛着が不安定になりやすい。
 ましてや、本来子どもを守るはずの親が、子どもを気まぐれに脅したり罰したりすれば、子どもとの愛着は破壊的なダメージを受けることになる。

(『母という病』岡田尊司著 / ポプラ新書 P86-87⦅ページ数は単行本⦆より引用)

 

  

参考文献